前回は平均課税を通じて、印税に対する税金を安くすると言うポジティブなお話をしました。

今回は、源泉徴収と言うちょっとネガティブ⁉なお話です。

 

源泉徴収とは

 

みなさん、源泉徴収を知っていますか?

通常私たちは、翌年の3月15日までに確定申告をすることで税金を納めることになっています。

しかし、それでは納め忘れをしたり、中には巧みに脱税をする人も出てくるかもしれません。

そこで国は、一定の条件下にある報酬、収入に対して、それらが支払われたタイミングで同時に税金を取ってしまおうと考えたわけです。これが源泉徴収です。

例えばサラリーマンの人であれば、給与明細書に源泉徴収の欄があって、そこから税金が引かれているのを見たことがあることでしょう。

このように、本来は確定申告の際に収めるはずの税金を、源泉徴収という制度を使って前払いさせているわけです。

ここで当然疑問が発生します。なぜなら税金は通常、1年間のトータルの収入に基づいた税率によって計算されるわけですから、どうやって正確な税金額が分からない年の途中に税金を集めることができるのかということです。

サラリーマンの場合は実はその答えとなるからくりがありまず。それが年末調整です。

年末調整は通常12月におこなわれ、1年間収めた税金額と本来納めるべき税金額の差額を調整する作業です。たいていは毎月の税金が多めに取られているため、12月に税金が戻ってくることとなり、12月の給与は少し多めに受け取ることになります。

ということで、サラリーマンの場合は勝手に税金がとられ、勝手に還付されるので、本人は何もしなくてもよく、源泉徴収だろうと確定申告だろうと関係ないということになります。

しかし、紙の本や電子書籍などを出版している人は話が違ってくるのです。

 

印税と源泉徴収

 

源泉徴収されてしまうのは、何も給与所得者だけではありません。

国税庁のサイトにはこんな場合も源泉徴収されるとあります。

 

イ 原稿料や講演料など
ロ 弁護士、公認会計士、司法書士等の特定の資格を持つ人などに支払う報酬・料金
ハ 社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬
ニ プロ野球選手、プロサッカーの選手、プロテニスの選手、モデルや外交員などに支払う報酬・料金
ホ 芸能人や芸能プロダクションを営む個人に支払う報酬・料金
ヘ ホテル、旅館などで行われる宴会等において、客に対して接待等を行うことを業務とするいわゆるバンケットホステス・コンパニオンやバー、キャバレーなどに勤めるホステスなどに支払う報酬・料金
ト プロ野球選手の契約金など、役務の提供を約することにより一時に支払う契約金
チ 広告宣伝のための賞金や馬主に支払う競馬の賞金

 

弁護士、プロ野球選手、ホステス、馬主など、一般人はあまりなじみのない職業が羅列されていますが、このリストの一番上に「原稿料」という言葉が書かれています。実はこの「原稿料」とは、要は印税のことなのです。つまり、プロの作家を始めとして、アマチュアの電子書籍作家も含め、自分が書いた本が売れてその収入としての印税を受け取る際に、源泉徴収されることになっているのです!

ではいくら取られるのかといいますと、ざっくり源泉徴収は10%もっていかれます。

もし印税が10万円入るとしたら、実際に出版社からあなたに支払われるのは9万円です。残りの1万円は出版社が直接税務署に支払ってくれます。

ただし、源泉徴収はあくまでも税金の前払いです。もし、源泉徴収でとられたお金が実際に収める税金額よりも多くなっていたら、確定申告で取り戻せますのでご安心ください。どちらかというと、そのためだけに確定申告をすることの方が面倒くさいのですが。。。

 

電子書籍の出版代行業者と源泉徴収

 

上記の内容くらいは知っている人は大勢いたのではないでしょうか。さて、今回の記事は実はここからが本題です。そして、ここからは税理士さんに聞いたお話です。

ポイントは源泉徴収が発生するパターンにあります。

まず、源泉徴収をしなくてはいけないのは誰かと言うことですが、それは「法人」です。

また、法人の中でも、日本で事業をおこなっている法人が対象と言うことになります。つまり、海外の法人から受け取る印税は、日本においては源泉徴収されないのです。ですから、ミクパブが書籍を配信しているAmazonのKindle、楽天Kobo、iBooks、Google Play ブックスの中で、実際に源泉徴収されるのは楽天Koboのみです。

そして、源泉徴収をされるのは誰かと言うと、それは「個人」です。

ですから、楽天Koboへの出版であっても、法人アカウントでの出版であれば源泉徴収されないということになります。

よく、AmazonのKDPで源泉徴収されるという話がありますが、あれはアメリカで売れた本の売上に対して、アメリカで源泉徴収されるという話です。そしてその回避策もあります。

話を戻しますが、源泉徴収は日本で事業をおこなっている法人から、個人が印税を受け取るときに初めて発生するということを覚えておいてください。

ここで、本日のお題、出版代行業者の登場です。

実は、出版代行業者を通じて電子書籍を販売する際に、その販売主体になるパターンが2種類あることをご存知でしょうか。一つ目は、作家自体が販売主体になる場合です。このパターンでは出版代行業者はアカウントの作成などを手伝ってくれますが、出版が始まったら売上の管理などは作家本人がおこなうことになります。

もう一つは、出版代行業者のアカウントを介して本を出版するパターンです。この場合は、売上の管理も出版代行業者がしてくれ、月に一度売上実績のレポートが送られてくるなどします。

実は、問題になるのがこの2番目のパターンなのです。

例えば、個人作家Aさんが法人出版代行業者Bを介して、AmazonでKindle本を出版したとします。その際に、Aさんは、上記の2番目の方法、つまり出版代行業者Bが保有するAmazonのKDPのアカウントを介して本を出版したとします。この場合、Amazonから見れば出版代行業者Bが新たに本を出版したように受け取られます。

そして実際に本が売れ始め、印税が発生したとします。まずAmazonから出版代行業者Bに、売上に応じた印税が支払われます。次に出版代行業者Bが作家Aに対して印税を支払います。作家AとAmazonは直接金銭のやり取りはありません。

 

問題:このプロセスの中で源泉徴収は発生するのか?

 

答え:イエス!

 

実は、上記の流れの中で源泉徴収が発生します。そのタイミングとはずばり、出版代行業者Bが作家Aに印税を支払った瞬間です。

もう一度おさらいしてみましょう。印税に対する源泉徴収は下記の3条件がそろった時に発生しました。

1.原稿料(印税)の支払い

2.支払元が日本の法人

3.支払先が個人

これを念頭に先ほどの例を振り返ってみましょう。

まずAmazonから出版代行業者Bへの支払いについてですが、これはAmazonが日本の法人ではないため(KDPはアメリカのアマゾンが運営しているサービス)、源泉徴収は発生しません。

次に、出版代行業者Bから作家Aへの支払いですが、この支払は出版した本の売上に対する対価ですから印税であり、出版代行業者Bは日本の法人であり、支払先は作家個人ですから、源泉徴収が発生する3条件が全てそろっていることになります。

ですから、出版代行業者Bは作家Aに印税収入を支払う際に、約10%の源泉徴収をしなくてはいけません。源泉徴収をしなければ違法状態と言うことになります。

 

違法な出版代行業者に気をつけよう

 

実は、この事実をよく理解していない出版代行業者はたくさんあります。Kindleの出版代行で検索でも上位に出てくる有名な会社や、電子書籍を複数の販売サイトに登録するサービスを初期から展開している老舗の会社でも、実は源泉徴収をせずに印税を支払っていることがあります。

もう一度いいますが、源泉徴収義務者が源泉徴収せずに収入を支払ったら、それは違法状態です。もちろん悪いのは源泉徴収義務者である出版代行業者の方ですが、その会社が税務調査などに入られれば、利用者もトラブルに巻き込まれる可能性があります。場合によってはさかのぼって源泉徴収額を支払うよう命じられるかもしれません。

もしあなたが、出版代行業者のアカウントを介して、AmazonのKDPなどに本を出版しているのであれば、その業者があなたへ印税を支払うときに、源泉徴収をしているのかどうか聞いてみてください。もししていないのであれば、それは税理士にも確認したのかと聞いてみてください。

源泉徴収のことを深く知らずに、KDPで発生した印税をそのまま作家に渡している出版代行業者がたくさんいます。ぜひ一度確認してみてください。

ちなみにミクパブで発生した報酬に対しては、源泉徴収されません。なぜならミクパブは個人として運営しているからです。先ほどの源泉徴収の3条件にあった、「支払い元が日本の法人」という部分が当てはまりません。ですから、源泉徴収をしなくても違法状態ではありません(税理士確認済み)。

付け加えると、日本の法人が海外の個人に出版の対価としての報酬を支払う場合も源泉徴収が必要で、さらになんとその場合は約20%が持っていかれます。しかも作家個人は海外にいるわけですから、確定申告で取り戻すなんて難しいわけです。この辺りは租税条約などで回避できなくはないのですが、実際には難しいと言わざる負えません。

これもミクパブの場合は個人運営なので、海外の利用者に対しても源泉徴収する義務はありません。

安心してミクパブをご利用くださいませ。